いさか新聞 49号 (2007/10) あらゆる分野に、進化の余地がある
2010年05月30日
いさか新聞 49号 (2007/10)
「あらゆる分野に、進化の余地がある」夏からアッという間に冬になりましたね
●問題解決型の新しい図書館●
街の方々から長らくご要望をいただいておりました、各区図書館の開館時間を延長する件ですが、私が所属している文教経済委員会での質疑に続いて、9月20日の本会議で教育長と議論する中で、灘区を含めた3区の図書館が、来年4月から午後8時まで開館時間延長されることになりました。
指定管理者という制度を活用して、図書館の運営業務を民間委託することで可能になったわけですが、今後問題となるのは、これまで各区の図書館で働いていた職員(公務員)の行き先です。本庁の事務作業に回してしまうのではなく、図書館サービスをさらに高める部署に配置すべきなのです。
そもそも図書館とはどういう施設なのか、基本に立ち返って昭和25年制定の「図書館法」を見てみますと、貸本だけでなく、市民の相談や時事に応じて必要な資料を探し出して提供する業務が明記されています。ところが神戸市民は平均して年に2.5回図書館に行き、年に平均4冊の本を借りているのに対して、相談業務は年間11,000件ですから、市民ひとりあたり150年に一度しか利用されない計算になります。「レファレンス」と呼ばれるこれらの業務こそが、今後の図書館の課題なのではないでしょうか。
シンガポールは2005年に「Library2010」という図書館ビジョンを国家戦略として定めました。「成功するための知識」「知識経済・情報社会における役割」などを基本指針に掲げて、図書館の利用者だけでなく、利用していない国民も含めてマーケティング調査を行った結果、ビジネスマンに向けたサービスを開発することによって、全く新しいニーズを創り出しています。
また、競争力と教育力の世界ランキング1位を獲得している注目の国・フィンランドの図書館は、ITを国家戦略の中心に据えた上で、図書館に大量のパソコン端末と専門の指導員を配置して、お年寄りにパソコンの使い方と情報検索の仕方、電子政府サービスの使い方を身に付けてもらっています。知識社会における情報格差を埋めるための、福祉的な役割を図書館が担っているのです。
今回、各区図書館を民間委託することで余ってくる市職員は、司書資格を持った図書館行政の専門家です。長年市税をつぎ込んで育ててきた彼らの専門性を、まったく畑違いの部署に回して無駄にするのではなく、これまで実現できなかった、上記のような新しい図書館サービス実現のために専門性を生かすべきです。
●市議会のインターネット放送はじまる●
4年前に議会に提出した23項目の改革提案の中で、検討項目として残っていた議会のネット放送が、ようやくこの9月議会から、本会議代表質問のみですが実現されました。ネット放送を意識してかどうか、与党議員の質問も普段より少し厳しくなっていたような・・・(笑)ともあれ、「市民に見られている」という緊張感が出るのは、とても大切なことです。→神戸市会インターネット録画放映
●公共事業をもっと安く、もっと早く●
公共工事が減らされる一方の建設業界も、厳しい環境の中で少しずつ進化しています。たとえば作業Aと作業Bを20日間で終えなければならない場合があるとしましょう。普通は作業Aに10日間、作業Bに次の10日間を割り振って合計20日で終わるようにしますが、「クリティカル・チェーン」という新しい管理法は、作業Aにも作業Bにも5日間しか割り振らず、残りの10日間は全体の予備日として現場責任者がまとめて確保しておくのです。
従来の考え方では、作業Aと作業Bは10日間で絶対に終わることが大前提になっていましたが、クリティカル・チェーン型では作業Aや作業Bが5日間で終わらなくても担当者は責められることなく、現場責任者が作業Aや作業Bの遅れを全体の予備日の範囲内で抑えられるよう管理するだけです。人間心理を逆手にとった新しいプロジェクト管理法で、公共事業の工期短縮が期待されています。
ところが、建設業者がこの新しい管理法を採り入れた時、ネックになるのが役所の対応の遅さです。現場でトラブルがあって役所の指示を仰いでも、返事がいつになるのか分からずに工事が止まるのです。そこで高知県では、建設業者からの問い合わせに必ず24時間以内に返事をするというルールを定めて、クリティカル・チェーン型プロジェクト管理をしている建設業者と二人三脚で工期短縮を目指したところ、なんと工事期間は平均2割も短くなり、業者の利益は7%も増え、しかも工事成績の評価点は県の平均を大きく上回るという素晴らしい結果が出ました。
この単純ながら非常に効果的な仕事のルールは「ワンデイ・レスポンス(一日で返事)」と名づけられ、国土交通省もこの4月から各地方整備局の工事で導入を始めているそうです。神戸市でも導入を検討するとの答弁がありましたので、今後の動きに注目していきます。
●データにもとづく病気治療●
市民病院では、病名ごとに「クリティカル・パス」という標準的な治療スケジュールを作っていますが、私はこれをIT化して標準治療スケジュールからの「ズレ」を蓄積・分析すべきだと考えています。たとえば標準スケジュールでは7日目に投薬するところを、医師の判断で一日早めた場合、結果的に完治が早まる例がいくつも続けば、クリティカル・パス自体を改定しなければなりません。標準スケジュールからずらした場合の結果を分析して、クリティカル・パスの精度を高めてゆくのです。
単に電子カルテを導入して、カルテを書いたり運んだりする手間を省くだけの初歩的なIT化ではなく、日々の医師の判断がデータとして自動蓄積されて、コンピュータが次に必要なことを自動予測するような、高度なIT化でなければ、得られる効果に対してシステム導入費が割高になってしまいます。治療の精度を上げて、少しでも早く安く患者を治す方法を確立することが、最大の市民サービスなのです。





